2018.07.27

日本に滞在する難民申請者のための無償歯科治療支援 

鶴見大学は国際貢献事業として「難民申請者のための無償歯科治療支援」を行っています。

歯学部と歯学部附属病院を有する本学ならではの国際貢献事業として、2010年2月より鶴見大学で開始しました。2018年現在も継続して実施しており、鶴見大学、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)なんみんフォーラム(FRJ)の3者連携事業として運営されています。

本事業はこの種の国際社会貢献事業としては日本の医療系大学で初めての試みとして社会の注目と激励を受けながら、国際交流センター、歯学部附属病院スタッフならびにFRJのスムーズな連携により着実に進捗しています。

制度

なんみんフォーラムFRJを通じて本学国際交流センターへ申込みのあった治療希望者は、本学国際交流センター統括の下、本学歯学部附属病院にて担当ドクターが治療を行うシステムをとっています。

提供される治療内容は保険診療の対象となるすべての歯科治療であり、治療費は本学が全額負担とし、治療を受けた患者さんの費用負担はありません。

 資格と申請

「難民」とは様々な理由により、母国から身の危険を感じて国外に逃れた人々のことです。

日本政府に「難民」として認められるためには、まず“難民申請”を行い、難民認定をうける必要があります。

日本の難民認定率は1%以下と世界の人権先進国と比べて極端に低いのが現状です。認定を待つ多くの難民申請者は就労や健康保険の取得ができず、経済的困窮を余儀なくされています。

このため歯が痛くても歯科治療を簡単に受けられない難民申請者も多く存在します。そのような方々に無償の歯科治療を提供するのが本事業です。

法務省発表によると、2017年の難民申請者数は19,629人であり、前年と比べて8,700人近く増加しています。

難民申請者推移表

本学歯学部附属病院には、本事業を通じて世界の様々な国の患者さんが、言語や文化の壁を乗り越えて来院されています。そこには、助ける・助けられるという機会に留まらず、異文化が接する機会、国境を越えた絆が自覚される機会など、国際情勢に直結した国際交流があります。大学の国際交流は学生や学者の国際往来を中心としながらも、本事業がその活動に幅と特色をもたらしてくれるものと考えています。

鶴見大学歯学部附属病院:難民申請者患者さん治療時

 

受診データ(2017年12月末現在)

患者数:212名(男性161名、女性49名、不明2名)

出身国数:38の国と地域(国籍無し含む)

総診療回数:1867回

受診者出身国内訳(2017年12月末現在)

 アンゴラ

2

ギニア

3

イラン

31

ケニア

1

インド

4

コートジボワール

1

インドネシア

1

コソボ

1

ウガンダ

13

コロンビア

4

エチオピア

4

コンゴ

5

エリトリア

2

ジンバブエ

1

ガーナ

8

スーダン

1

カメルーン

8

スリランカ

9

ガンビア

1

セネガル

1

ソマリア

1

バングラディシュ

13

タンザニア

1

フィリピン

3

中国

2

ブラジル

2

チュニジア

2

ボリビア

1

トーゴ

1

南アフリカ

1

トルコ

29

ミャンマー

26

ナイジェリア

13

無国籍

5

ネパール

6

リベリア

1

パキスタン

3

ロシア

1