2023.12.21

国際公共経済学会第11回春季大会「電気料金高騰への対応」

3月4日(土)、兵庫県民会館において、兵庫県立大学政策科学研究所と関西学院大学産業研究所の共催で、第11回国際公共経済学会2022年度春季大会のシンポジウム「電気料金高騰への対応」が開催され、会場とオンラインあわせて約110名の方が参加されました。

現在、電気は市場において取引がなされていますが、電力市場は多様な形態で存在しています。その中で、再生可能エネルギーの比率が高まると、これらの市場において価格が高騰し、リスクヘッジとして法人のみ参加可能な電力先物取引のニーズが増大することが見込まれています。政策科学研究所では、電力先物取引の活性化に寄与することにより、電力の総合的な市場設計等に寄与していきたいと考えています。そこで、本シンポジウムは、電気料金高騰による企業破綻を食い止めるべく、電気料金高騰の原因をはじめ、理解が困難とされる電力先物取引について知ることのできる機会として、「電気料金高騰への対応」をテーマに行われました。

経済産業省電力・ガス取引監視等委員会 取引制度企画室長の東哲也氏から、「電気料金の高騰とその対応について」と題して、電力の小売料金についてと電力の卸価格について、大きく2つのパートに分けてお話いただきました。

国際公共経済学会前会長で、関西学院大学経済学部の野村宗訓教授から、「電力改革による競争が招いた弊害と求められる今後の政策」と題し、事業者や利用者の観点からお話いただきました。

本学の政策科学研究所の中村稔特任教授からは、「最近の国際情勢と物価動向について」と題した講演がありました。講演の中で中村特任教授は、エネルギー問題を今後どのように考えていけば良いのかについて取り上げ、火力や水力、原子力、再生可能エネルギーといった様々な方法を組み合わせて発電させるエネルギーミックスを、それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、バランスを取りながら行っていくことが大切であると述べました。

講演後は活発なディスカッションが行われ、中村特任教授は、リスクとの向き合い方について取り上げ、「日本には『リスクはできるだけ避けるもの』という風潮があるが、リスクをどのように取っていくのか、不透明なものに対してどのようにチャレンジしていくのかというマインドを持った取組を、国内でもっと増やしていかないといけないのではないか。特に学生も含めて若い人には、リスクをどうマネージしていくかということが、今後ますます大事になってくるということについて理解を深めて欲しいと思っている。それは、現実の社会のリスクをどのように最小化し、安定的に動かしていくのかということを考えるための手段の1つになる」と述べました。

兵庫県立大学SDGs公式HP「兵庫県立大学×SDGs