本学 工学研究科 マテリアル工学分野の牧浦 理恵 准教授、博士後期課程 3年 大畑 考司さん、応用化学分野の野元 昭宏 准教授らの共同研究グループは、原料の分子の形状と結合の相手となる金属イオンとの組み合わせ、水面での作製条件を工夫することにより、多孔質(解説)かつ電気を流すナノシートを作製することに成功しました。
厚さナノメートル(1000万分の1センチメートル)のシート状のナノ材料は“ナノシート”と呼ばれ、究極に薄い機能材料として、小型化、省資源性の観点から注目を集めています。
これまでに報告されている多くのナノシートは、大きなスケール(マクロスケール)の材料を剥離することにより製造されています。この製造方法には多くのエネルギーを必要とする高温・高圧や複数のプロセスが含まれます。また、剥離する過程でナノシート自体が破壊されるなどの課題があります。
水面に油膜ができる現象は古くから知られており、数滴の油を水面に落とすだけで、大面積で均一な油膜が形成されます。私たちは、この現象が省エネルギープロセスの材料製造につながるのではないかと考え、水面に原材料を含む溶液を滴下するという極めて簡単な方法で、高度な立体ナノ構造を有し、電気を流すナノシートの作製に成功しました。このナノシートは、用途に応じて様々な基板に転写して使用することが可能です。
立体ナノ構造中には、形状とサイズが揃ったナノスケールの細孔が無数に含まれます。多孔質で電気を流すナノシートをセンサや電池材料として用いることで、小型化・高機能化が期待されます
なお、本研究成果は2021年10月28日15時(日本時間)に、米国の科学雑誌「Applied Materials and Interfaces」のオンライン速報版で公開されました。
詳細は以下のWebサイトからご覧ください。