本研究のポイント
- 長期にわたる東京電力福島第一原子力発電所(以降、1F)の廃止措置を安全かつ継続的に進めるためには、時間の経過とともに進行する原子炉などの材料の腐食を抑えることが重要です。しかし、1F 特有の海水等の不純物成分が混入した高い放射線の環境における腐食反応に関するデータは十分に整理されていませんでした。
- 本研究では、放射線環境下での腐食(解説1)によるトラブルの発生の可能性や対策方法などを検討するうえで重要な、
(1)海水混入系ラジオリシスデータベース(水の放射線分解(以降、ラジオリシス)(解説2)のデータをまとめたデータベース)
(2)放射線環境下腐食データベース(放射線照射下での鉄を主成分とする合金の腐食データをまとめたデータベース)
(3)腐食調査票データベース(1F廃炉工程における潜在的腐食影響(解説3)に関して検討した結果をまとめたデータベース)
からなる「放射線環境下での腐食データベース」を構築しました。 - その結果、原子炉格納容器(解説4)(以降、PCV)内にたまっている滞留水の酸性度や海水由来および原子炉の材料から溶出するイオンなどの影響により、材料腐食を加速する原因となる酸化性の成分の濃度が大きく変化することが明らかとなりました。
- 本成果は、デブリ取り出しに向けた長期にわたる1F廃止措置をより安全に遂行するための足掛かりとなると期待されます。
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