2017.07.06

2017年夏季卒業式を挙行

6月30日(金)、大学礼拝堂において夏季卒業式が挙行され、学部生65人と大学院生34人、総勢99人に、学位記が授与されました。

式では、本学の伝統に則り、卒業生一人ひとりの名前が読み上げられ、壇上で学位記が手渡された後に、日比谷潤子学長が卒業生一人ひとりと暖かい握手を交わしました。

続いて、式辞を述べた日比谷学長は、3月31日に本学が国連アカデミック・インパクトに加盟したことに触れつつ、「みなさんはこれから、常に拡大し越境する知識基盤社会を生きていきます。そのような世界にあって、卒業と同時に学びが終わると考える人はいないでしょう。地球規模の課題に立ち向かうことのできる責任ある地球市民になるためには、自発的学修者として、生涯にわたり積極的に学び続けなければなりません。みなさんは、ICUで受けた教育により、創造的に学ぶ道程を自ら計画することができるはずです。今後、世界のどこにいても、自らの活動をとおして、ここで身につけた力を、知的分野の社会的責任の確立を目指す国連アカデミック・インパクトの10の原則を実現するために活かしてください」と、新卒業生へ激励の言葉を贈りました。

式後には、卒業生たちがこの日のために海外から来日した家族、そして友人や教職員と学生生活を振り返りながら、記念写真を撮る姿が各所で見られました。

日比谷潤子学長 式辞

Commencement170630-140.jpg

教養学部卒業生、大学院博士前期課程、後期課程修了生の皆さん、おめでとうございます。ご家族、ご友人の方々にも、お祝いを申し上げます。

今年の3月31日、ICUは国連アカデミック・インパクト(United Nations Academic Impact, UNAI)に加盟しました。アカデミック・インパクトは、国連広報局のアウトリーチ部が主催するプログラムで、国連と世界各国の高等教育機関とのパートナーシップ及び高等教育機関同士を結ぶ取り組みで、以下の10原則を支持し促進させるというコミットメントによって成り立っています。

  1. 国連憲章の原則を推進し、実現する
  2. 探求、意見、演説の自由を認める
  3. 性別、人種、宗教、民族を問わず、全ての人に教育の機会を提供する
  4. 高等教育に必要とされるスキル、知識を習得する機会を全ての人に提供する
  5. 世界各国の高等教育制度において、能力を育成する
  6. 人々の国際市民としての意識を高める
  7. 平和、紛争解決を促す
  8. 貧困問題に取り組む
  9. 持続可能性を推進する
  10. 異文化間の対話や相互理解を促進し、不寛容を取り除く

加盟大学としてICUには、国連憲章へのコミットメントとともに、このような原則にかかわる活動を行うこと、とりわけ、「持続可能な開発目標」を実現していくことが求められています。5月22日、本学は、「ジェンダーと持続可能な開発目標」をテーマに、最初の国連アカデミック・インパクト公開イベント(2つの講演とパネルディスカッション)を実施しました。続いて6月5日には、「世界の課題に挑む -外交・国際公務員キャリア開発」と題するワークショップが開催されました。本日の卒業生・修了生の中にも、参加した人がいるかもしれません。

今日ICUから学士号、修士号、あるいは博士号を授与されたみなさん一人ひとりには、本学の卒業生・修了生として、これら10の原則を自ら推進していくことが期待されています。本学で受けた教育から、みなさんは、自立して学修計画を立案する力、日英両語で学び、この二言語を使って世界中の人々と対話する力、批判的思考力を駆使して問題を発見し解決する力、多様な知識を統合し、それを実践の場で活用する力、効果的なコミュニケーション力と文章表現力を身につけました。みなさんはこれから、常に拡大し越境する知識基盤社会を生きていきます。そのような世界にあって、卒業と同時に学びが終わると考える人はいないでしょう。地球規模の課題に立ち向かうことのできる責任ある地球市民になるためには、自発的学修者として、生涯にわたり積極的に学び続けなければなりません。みなさんは、ICUで受けた教育により、創造的に学ぶ道程を自ら計画することができるはずです。今後、世界のどこにいても、自らの活動をとおして、ここで身につけた力を、知的分野の社会的責任の確立を目指す国連アカデミック・インパクトの10の原則を実現するために活かしてください。

本学卒業生のみなさんには、良き市民として人生を送り、どのようなことをすれば、これらの原則を推進していけるか考えていただきたいと思います。進むべき道はそれぞれ異なり、果たすべき役割も違うでしょう。それは、一人ひとり、神から他の人にはない賜物を与えられているからです。答えはすぐには見つからないかもしれません。そのような時は、今日の式の冒頭で朗読されたマタイによる福音書第7章の7〜8節を思い出してください。求めれば、与えられるでしょう。捜せば、見いだすでしょう。門をたたけば、あけてもらえるでしょう。求め続け、捜し続け、門をたたき続けてください。そうすれば、進むべき道が示されるに違いありません。後から振り返って、アカデミック・インパクトの原則を進めてきたと実感できるような人生を歩んでいってください。みなさんの行く手に神の豊かな祝福があることをお祈りしています。