2018.12.20

インド研修旅行―インド国立タゴール国際大学との交流

 2015年にタゴール国際大学(正式名ヴィシュヴァ・バラティ大学=Visva-Bharati University)と本学が交流協定を結び、2016年8月には、タゴール国際大学との共催で、タゴール国際大学で「「タゴールと日本―タゴールの初来日から100年を記念して」と題して国際会議を開催し、中山理学長、犬飼孝夫国際交流センター長、竹内啓二経済学部教授が発表を行いました。その報告書も出版されています。

 タゴール国際大学は、1954年にインドで最初に日本語を教える講座が開設された大学でもあり、現在では、学士課程から博士課程まであります。故我妻和男麗澤大学名誉教授が中心になってタゴール国際大学の日本人卒業生や日本人関係者に寄付を呼び掛けて1996年に建設された「日本学院」の建物に、学科長室、教室、事務室、図書室があります。

 交流協定に基づいて、2017年タゴール国際大学日本語学科2年生の学生を9月から4ヶ月受け入れました。寮費や授業料免除です。そして、2018年の2月に本学からの最初のインド研修旅行を、8月には第2回目を実施しました。 

 インド研修旅行には、2月に6名、8月に7名参加しました。これは、経済学部の「経済・経営フィールド演習初級」と外国語学部の「短期海外研修B」という科目として実施しているもので、両学部の学生が履修し、参加することができます。

 コルカタでは、マザー・テレサの修道院で、マザー・テレサの埋葬されている部屋や過ごされた部屋を見学し、マザー・テレサを偲びました。そしてその施設の一つ、「死を待つ人の家」も見学させていただきました。インドの皮製品の工場も見学し、社長さんから経営やインド社会についてお話をうかがいました。インド博物館やインドの植民地時代の建物ビクトリア・メモリアル、独立運動の指導者スバシュチャンドラ・ボースの記念館、ヒンドゥー教の女神カーリーの寺院も見学しました。8月のグループは、コルカタ総領事からじきじきにインドと日本、コルカタと日本の関係について講義も賜りました。コルカタから日帰りで、カラグプルという都市にある、インドのタタ財閥と日本の建設機械メーカー日立建機株式会社が提携してできたタタ日立の工場見学もしました。そこはショベルカーを作るアジアで一番大きい工場で、インドへの日本企業の進出の一つの具体例として多くのことを学びました。

 タゴール国際大学では、1週間ほど滞在し、大学のゲストハウスに泊めていただき、インドの社会、習慣、経済、宗教、タゴールの生涯と教育思想、農村再建についての考え方と実践などについて、タゴール国際大学の先生方から英語で講義を受け、質疑・懇談する時間をいただきました。タゴールが力を入れた農村再建については、農村再建センターとそのプロジェクトの説明を受けるとともに、染めものや革製品を製造している作業所と販売店と実際にプロジェクトが実施されている村を案内していただくことができました。

 10月26日には8月のインド研修旅行の報告会を行いました。学生はインドの様々な側面をとらえて、自分の体験もおりまぜながら発表しました。また、大学祭では、2月と8月のインド研修旅行の報告を含む、インドに関する展示と発表を行いました。

 参加した学生は、タゴール国際大学で日本語を学ぶ学生たちに、キャンパスや村を案内してもらい、毎日のように日本語や英語を使っての交流の機会を持ちました。現在も、フェイスブックなどを通して連絡を取り合っています。今までは遠い国であったインドに友人ができ、インドでの2週間ほどの研修旅行を通じて、学生は確実にインドを身近に感じるようになっています。なかには、今度の春休みを利用して、タゴール国際大学を再び訪れる計画を立てている学生もいます。

 また、先般、10月29日には、タゴール国際大学から、本学科の大学院で学ぶ2名の女子学生が来園し、道徳科学の授業で、インドの文化・社会・タゴールの思想について語ってくれました。彼女たちには、インド研修旅行に参加した聴講生の女性が、着物を着せてくれ、私もはかまを着て、園内を散策し、紅葉の始まった木を背景に写真を撮りました。その女子学生の父親から娘にとって貴重な体験となったという御礼のメールもいただきました。

 インドと日本の国同士、首脳同士の交流が盛んになってきておりますが、民間の交流はまだまだこれからです。そんな中で、インドでも最初に日本語を教えた大学であるタゴール国際大学と本学が協定を結び、民間交流にも貢献していることになります。日本人がインドで働いたり、インドとの関係で仕事をしたりすることも増えていっています。本学学生が、研修旅行を通じて、インド社会・文化を体験することは、学生がグローバルな視野をもち、将来世界で活躍するためにも大きな力となることでしょう。

(竹内啓二(経済学部教授))