2021.12.28

絶滅に瀕したサンゴを救う 「病原菌からサンゴを守る善玉菌」を海水から容易に取得可能に!

本学 大学院 生命環境科学研究科 北村 瑠璃子さん(2020年度 博士前期課程修了)、三浦 夏子 助教、片岡 道彦 教授と琉球大学 熱帯生物圏研究センター 伊藤 通浩 助教、山城 秀之 教授、東京大学 大気海洋研究所 高木 俊幸 助教らの研究グループは、サンゴに共在する細菌が海水から取り入れられていることに着目し、サンゴ礁周辺の海水から、サンゴの主な病原菌とされている悪玉菌(Vibrio属細菌、解説1)の生育を抑えることが期待される善玉菌(Ruegeria属細菌、解説2)を特異的に検出することに成功しました。

これにより、今まではサンゴを破壊しなければ得ることができなかった細菌が、サンゴを傷つけることなく簡単に採取できるようになったほか、海水から目的の細菌を取得する効率を高めることができました。また、海水中に存在する細菌の中から、特定の細菌の存在割合を迅速に特定する方法も開発しました。これにより、海水中に存在するRuegeria属細菌の割合が、季節によって変動することも初めてわかりました。

本研究成果は、絶滅に瀕したサンゴの保護を実現するための基礎技術となると考えられるほか、サンゴ礁が提供する生物資源の保全にもつながると考えられ、持続的な開発に向けて海洋資源を保全するSDGsの達成に貢献すると考えられます。さらに、本技術は将来的に海水を利用したサンゴの健康状態のモニタリングへの応用も期待されます。

今後、本研究で採取したRuegeria属細菌を「プロバイオティクス(解説3)」として利用するためにさらなる実証研究を進めます。

なお、本研究成果は、日本時間2021年7月18日(日)に、Springer Natureが刊行する学術誌「Marine Biotechnology」のオンライン速報版で公開され、8月号の表紙に採択されました。

詳細は以下のWebサイトからご覧ください。

https://www.osakafu-u.ac.jp/press-release/pr20211029/