2020.08.21
生体接触型医療機器コーティング材料の新しい評価法―ポリマーコーティングの2段階の水和挙動を簡単に検出―
大阪府立大学大学院 工学研究科の児島 千恵 准教授・松本 章一 教授、理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター 集積バイオデバイス研究チームの田中 信行 上級研究員・田中 陽チームリーダー、近畿大学 工学部の白石 浩平 教授、株式会社 北川鉄工所の春園 嘉英 課長らの共同研究グループは、医療材料として用いられるポリマーコーティングの「水和」挙動を簡単に評価できる手法を開発しました。本研究成果は、血栓防止などの機能性付与のために、生体接触型医療機器に用いられるコーティングの性能評価や素材開発に貢献すると期待できます。
生体接触型医療機器の表面にタンパク質などが付着すると、機器表面に細胞が接着したり、血管中に血栓が形成されたりします。これを防ぐために開発されたポリマーコーティング材料の機能性は、生体内の水分子とポリマーがなじむ水和により発揮されます。しかし、水和を簡単に評価することは難しく、水和の詳しい理解とポリマーコーティング材料の簡便な評価法が求められていました。
今回、共同研究グループは、乾燥と湿潤の両状態で親水性を評価できる手法を開発し、二つのポリマーコーティング材料の機能性を調べた結果、「乾燥状態から湿潤状態への移行による親水性の変化」と「湿潤状態が長く続くことによる親水性の変化」の2段階の水和挙動が引き起こされることを明らかにしました。
なお、本研究成果は、2020年4月19日に科学雑誌「Langmuir」のアクセプト版、オンライン版に掲載されました。
論文タイトル「Characterization of Hydration Process of Phospholipid-Mimetic Polymers Using the Air Injection-Mediated Liquid Exclusion Methods」
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