2023.12.06

岡山大学病院聴覚支援センターの片岡祐子准教授がバリアフリーの国際賞「Zero Project Award 2024」の最終候補に選出されました。

岡山大学病院聴覚支援センターの片岡祐子准教授が、障害者の生活向上のために行われている革新的な実践や政策に対し贈られるバリアフリーの国際賞「Zero Project Award 2024」に応募し、このたび1次審査を通過し、最終候補に選出されました。

「Zero Project」 は、国連障害者権利条約に基づき、障害のあるすべての人の日常生活と法的権利を改善する解決策を拡大し、公正で公平かつ包括的な、「障壁のない世界」を作ることを目標として、オーストリアにあるエッスル財団によって2008年に創設されました。国連障害者基本条約のさまざまな条項に関し研究・調査活動、レポートの発行、国際会議開催、課題解決に向けた他組織とのパートナーシップやサポートなどを行っています。2013年より国際連合とのパートナーシップでも実績を重ねています。2012年より国際会議「ゼロ・コンファレンス (Zero Conference)」を主催、2014年からは国連ウィーン事務局を会場として毎年開催しています。4年サイクルで「自立生活と政治参加」「インクルーシブ教育」「雇用」「アクセシビリティ」をテーマとしており、2024年2月予定の「ゼロ・コンファレンス2024  (ZeroCon24)」は「インクルーシブ教育」をテーマとし、全世界からバリアゼロに資する取り組みを募集し(#ZeroCall24)、表彰します。今年度このテーマに対して世界中から包括的で革新的かつ拡張性の高いソリューションの提案があり、今年は97か国から523プロジェクトの応募があり、8月22日付けで、164のプロジェクトが表彰候補として最終リストに選出されました。

岡山地域は2005年に国連大学より世界で最初の持続可能な開発のための取り組み(ESD: Education for Sustainable Development)に関するRegional Center of Expertise (RCE)に選ばれています。そして、岡山大学は、2007年アジア初のESDのユネスコチェアに選ばれ、地域コミュニティと共にESDの教師教育に取り組み、世界の中でこの分野を牽引してきました。大学病院の耳鼻咽喉科も聴覚障害児のインクルージョンのパイオニアで、自治体や教育機関と協働で福祉や教育に関する様々なプロジェクトを全国に先駆けて創設し、発信してきました。2021年、インクルーシブ教育を中心とした学校教師や職場の関係者に理解と支援、合理的配慮を進めることを目的に、聴覚障害をもつ人の意見を反映させた、支援冊子3冊を作成しています。これらの冊子は岡山大学図書館に登録しており無料でダウンロードできますが、ダウンロード数は既に22,000部を超えており、現在日本中で活用されています。2022 年には大学病院内の多岐にわたる診療科、分野とともに聴覚支援センターを設立しました。現在、多くのステークホルダーとともに、難聴者への支援と周辺の人への教育、福祉の拡充により、彼らが活躍できる社会的プラットフォームを創るべく、多くの取り組みを行っています。

今後、Zero Project Award 2024の最終選考として、数百人の専門家による投票が行われ、国際障害者の日である 2023 年 12 月 3 日に受賞団体が発表されます。2024年2月21日から23日まで、オーストリア・ウィーンの国連事務所で開催される「Zero Project会議」で受賞団体は表彰されます。最終候補団体は既にこの表彰式への招待を受けており、世界のZero Projectを共有し、学び、それを自国でも展開していくことが望まれています。今後は、聴覚支援センターとして、聴覚障害者のバリアフリーを目指し、インクルージョンの推進、共生社会の実現を進め、その輪を拡大していくとともに、9月からは岡山大学ユネスコチェア(チェアホルダー:横井篤文副学長・教授)の副チェアとして、海外にも広く共有、展開に取り組んでいきます。

 

〇岡大病院聴覚支援センター インスタグラム
 https://www.instagram.com/ouh_hearinghealthcenter/?hl=ja

〇Zero Project, Meet your #ZeroCall24 Shortlist!
 https://zeroproject.org/news/article/meet-your-zerocall24-shortlist

聴覚障害の生徒を持つ学校関係者のための支援冊子

最終候補者リストの認証