2018.06.11

JICA草の根協力事業報告[3] タイ・チェンマイで看護師を対象にHIV感染者ケア研修

 5月30日から31日にかけて、タイのチェンマイ県サンパトン郡にあるサンパトン地域病院で、同郡の保健センターに勤務する看護師を対象に、HIV感染者ケアに関する研修を実施しました。この研修はJICA草の根協力事業「北タイの保健センターにおけるHIV感染者ケアの強化事業」の一環として行われました。


 

 

 

 

 研修では、HIV感染者ケアをサンパトン病院と保健センターで協力して行うことの意義、HIVとAIDSに関する基礎知識、HIV感染症に関する種々の検査とその検査値の意味、HIV感染者がかかりやすい病気、HIV感染者のプライバシーの保護とスティグマ、抗HIV薬に関する知識、服薬支援と患者の問診方法、病院と保健センター間の患者紹介や情報交換のやり方など、かなり盛り沢山の内容の研修でした。研修の講師は、今年の3月末にHIV感染者ケアの研修のために日本に来た方々で、研修での経験や知見が講義の所々に活用されていました。また、今回は、杏林大学病院の佐野麻里子HIV/AIDSコーディネーターナースが、杏林大学病院での患者のプライバシー保護や服薬支援に関する講演をしました。

 研修には保健センターの看護師23人の他、サンパトン病院の看護師も参加し、みなさん熱心に受講していました。研修は講義が中心でしたが、講義内容に関するクイズが出されたり、グループディスカッションやロールプレイなどもあったりと、堅い内容の研修でしたが、受講者はHIV感染者ケアについて楽しく学ぶことができたようです。
 研修後に実施したアンケートの結果をみると、参加者の評価は概ね良好でした。全員がHIV感染者ケアに関する情報をアップデートでき、保健センターでのHIV感染者のケアにより自信を持って取り組むことができると感じたようです。
 今後は、サンパトン病院での実習を行った後、同院から各保健所に、新たなHIV感染者を紹介するトライアルが始まります。

2018.6.3
総合政策学部・教授 北島 勉