2020.06.09

国連アカデミックインパクト参加大学 2019-2020年活動報告書

2019-2020年、神戸市外国語大学は、国連アカデミックインパクトとその理念に貢献する数々の活動を行った。後述する取り組み事例は、いずれもとりわけ注目に値するものである。

1.サステイナビリティ/グローバル・シチズンシップ

模擬国連大会

神戸市外国語大学は、4つの模擬国連関連科目を開講し、ゼネック西出・ローリー准教授、立木ドナ教授、マイケル・ホリンバック准教授の指導の下、学生が3つの模擬国連大会に参加した。

1.1 第一に、2019年3月24日から28日にかけて開催された模擬国連世界大会ニューヨーク大会への参加である。同大会で、神戸市外国語大学の学生代表チームは、ドイツのウェストファーレン応用科学大学と合同で、イラン共和国外交団を結成した。学生は外交団として、「国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)」、「国連犯罪防止刑事司法会議」、「国連総会第三委員会」及び「国際連合児童基金」に参加した。「国際連合教育科学文化機関」に参加した西部唯衣及び中出結は、「政策提案文書優秀賞(Outstanding Position Paper Award)」を受賞し、外交団としては、「最優秀外交団賞(Distinguished delegation Award)」を受賞した。また、「国連犯罪防止刑事司法会議」に参加したハイムズ・風乃と原田直輝は、「優秀外交官賞(Outstanding Delegates in Committee Award)」(各議場で大使たちによる投票によって与えられる賞)を受賞した。寺本晶子は「経済社会理事会」の機能委員会の一つである「人口開発委員会」にて副議長を務め、「経済社会理事会」本会議内でスピーチを行った。その他に、学生代表チームは、大会参加準備の一環として、国際連合イラン政府代表部を訪問し、それぞれが担当する委員会について質問し、説明を受けた。また、国連ツアーにも参加した。

 

1.2 第二に、神戸市外国語大学主催で2019年6月21日から23日にかけて開催された第10回「日本英語大学模擬国連大会(JUEMUN)」への参加である。同大会の参加者は200人規模であり、「国際労働機関(ILO)」の100周年記念として開催された。同大会には、22人の教員との22の大学及び17ヵ国から学生が参加した。JUEMUN2019のテーマは、「持続可能な開発目標(SDGs)」の8番目である「雇用の促進と人々の保護」であった。JUEMUNは、「国連4大模擬国連大会(UN4MUN)」の理念及び活動内容に準拠することを目指している。記憶に留めておくべきなのは、JUEMUN創設者の一人である京都外国語大学のクレイグ・スミス教授の存在である。スミス教授は2019年1月に他界したが、同氏が描いたビジョン、情熱、そしてグローバル教育やグローバル・シチズンシップ、多くの学生や教員の平和学に与えた影響は忘れてはならない。ゲストスピーカーは、「国際労働機関(ILO)」駐日代表である田口晶子氏であった。JUEMUN2019は、「国連経済社会理事会」をシミュレートして実施された。学生の事務総長は松田華織、事務総長補佐は地福春香がそれぞれ務めた。「国連経済社会理事会」の下に設置された3つの委員会の議題は下記の通りであった。

 

  • ミーティング1:児童労働の完全撤廃

委員会A:農業における児童労働の完全撤廃

委員会B:家内労働における児童労働の完全撤廃

委員会C:武力紛争における児童労働の完全撤廃

委員会D:商業的な性的搾取における児童労働の完全撤廃

 

  • ミーティング2:機会と待遇における平等の実現

委員会A:障がい者のための機会と待遇における平等の実現

委員会B:原住民のための機会と待遇における平等の実現

委員会C:女性のための機会と待遇における平等の実現

委員会D:若者のための機会と待遇における平等の実現

 

  • ミーティング3:労働権利保護と安全かつ安定した労働環境の推進

委員会A:社会保障へのアクセス

委員会B:職場での暴力と嫌がらせを終わらせる

委員会C:健康なワークライフバランスを保障する

委員会D:途上国に対する貿易のための援助枠の拡大

 

1.3 第三に、2019年11月24日から12月1日にかけてドイツ・エアフルトで開催された模擬国連世界大会ドイツ大会への参加である。同大会で、神戸市外国語大学の学生代表チームは、ポーランド及びイタリアの外交団を結成し、「安全保障理事会」、「国際原子力委員会」、「国連総会」、「人権理事会」に参加した。参加学生は13人であった。ポーランド代表チームは、「最優秀外交団賞(Outstanding Delegations Award)」を受賞し、イタリア代表チームは、「外交団奨励賞(Honorable Mention Delegations)」を受賞した。学生と教員はブーヘンヴァルト強制収容所、「ポイント・アルファ」(西ドイツ国境付近に位置する米国の監視所、鉄のカーテンの一部分に隣接する)、ユネスコの世界遺産であるヴァルトブルク城を訪れた。ここは、ルターが聖書をドイツ語に翻訳した場所として知られている。フランク=ヴァルター・シュタインマイアードイツ連邦大統領は、参加者に向けてスピーチを行い、各委員会のセッションを視察した。模擬国連世界大会2020の事務総長を務める椛山美生は、閉会式でスピーチを行い、2020年11月22日から29日にかけて神戸市外国語大学が主催する模擬国連世界大会日本大会に参加者を招待したが、コロナウイルス感染症により本大会は中止、2022年への延期が決定している。

 

2. 異文化間対話の促進

2.1 トマス・ワイラー教授(ライン・フリードリヒ・ヴィルヘルム大学ボン、ノルトライン=ウェストファーレン州立応用科学大学、ドイツ国連協会副理事)は、2019年6月19日に、神戸市外国語大学の国際関係学科の学生及び教員に向けて、安全保障理事会に的を絞り、国連におけるドイツの立場について講演を行った。

 

2.2 ケルン市の職員2人とケルンに本拠地を置くノルトライン=ウェストファーレン州立応用科学大学が神戸市外国語大学と共同授業を実施し、それぞれの教育システムを紹介し、昼食を共にした。その後、ノルトライン=ウェストファーレン州立応用科学大学のグループは、神戸市役所を訪問し、市職員と教育について意見交換を行った。

 

2.3 立木ドナ教授は、2019年6月21日から23日にかけてグローバル・ネゴシエーション・シンポジウムを開催した。同シンポジウムのテーマは、「模擬国連シミュレーションにおけるベストプラクティス」であった。3名の講演者が外交手腕の向上について発表した。講演者は、黒田順子教授(マーシー大学、ニューヨーク)、アンドレアス・ミューニッヒ教授(ウェストファーレン応用科学大学)トマス・ワイラー教授(ライン・フリードリヒ・ヴィルヘルム大学ボン、ノルトライン=ウェストファーレン州立応用科学大学、ドイツ国連協会副理事)であった。