メッセージ

国連アカデミック・インパクトJapanにようこそ

国連事務次長 赤阪 清隆

 

国連アカデミック・インパクトは、国連と世界の大学(および高等教育機関)とを結ぶ新しいパートナーシップです。2010年秋に発足以来、すでに世界の数多くの大学などが参加しています。あらゆる大学に開かれており、大学にも国連にもメリットの多い、互恵的な協力関係です。中央大学のご支援で出来たこの国連広報センターのウェブサイトが、皆様の活動を大きく促進するのに役立つと確信しています。

どの大学も、社会の発展に貢献するための様々な教育、研究と活動を実施しておられます。貧困の削減、紛争の解決と予防、持続可能な社会の実現、気候変動への対応、森林保護、省エネ、水不足問題への対処、エイズなどの伝染病への対策、子どもの教育、女性の地位向上など、どの分野をとっても国連の活動と関係の深いものばかりです。

それならば、世界の多くの大学と国連(および多くのその関連機関)が、簡単に、しかも緊密に協力できるネットワークを作ることによって、情報を交換し、よりよい経験からお互いに学びあい、そして一段と効果的なプログラム作りに励んではどうか - こうした考えこそが、パン・ギムン国連事務総長の指導力の下で、国連広報局がアカデミック・インパクトを始めるきっかけでした。

アカデミック・インパクトは、参加する大学などに、国連憲章や人権尊重など10の原則へのコミットメントとともに、1年に少なくとも1度このような原則にかかわる活動を求めています。ぜひとも新鮮で創造的な新しいアイデアを出してください。

アカデミック・インパクトのメリットを最大限ご活用ください。まず、大学の国際性をアピールすることに役立つはずです。多くの大学が、海外からの留学生を受け入れたり、外国の大学との交流に熱心な「世界に開かれた大学」であることを標榜しておられますが、国連アカデミック・インパクト参加大学ということで、大学の理念や方向性がぐっと明確になるでしょう。そして、世界の知的世界に自らの大学の重要な活動を知ってもらえる機会が増えます。

第2のメリットは、大学の様々な活動のパートナーを、国連、他の大学などからより求めやすくなることです。目的を同じくするパートナーとともに、共同のプログラムを作ってください。10の原則それぞれにハブとなる大学が指定されていますので、分野、あるいは地域単位でのグループ活動が簡単です。すでに多くの具体的な計画が進行中です。このウェブサイトは、そのような活動の情報の交換に大いに役立つでしょう。

さらなるメリットは、これまで遠い存在でしかなかったかもしれない国連およびその関連機関が、ぐっと身近になることです。アカデミック・インパクト参加メンバーの開くセミナーや諸活動には、国連関係者が喜んで参加いたします。すでにこのようなセミナーが、中国、ルーマニア、韓国などで開催され、国連事務総長や国連幹部が多数参加しています。国連にとっても、その活動への理解を広めるのに役立つだけでなく、学界からの知的なインプットが得られるという大きなメリットがあります。

また、アカデミック・インパクトのもとで、学生同士による斬新な改革を協議する「ASPIRE」というプログラムも進展中です。今、若者は、世界が抱える諸問題の解決にどのようにしたら貢献できるかをしきりに模索しています。このアカデミック・インパクトは、志を同じくする世界の学生にも、知恵を出し合い、ともに共通のプログラムを作っていく場を提供しています。

ビジネスの世界では、企業の社会的責任(CSR)について世界的なコンセンサスが出来つつあります。学問の世界では、これまでその社会的責任が当然のように見られながら、その概念を具体的に行動に移す世界的な試みが十分ではありませんでした。この国連アカデミック・インパクトは、まさに、そうした「知的分野の社会的責任」(Intellectual Social Responsibility)を確立しようという大胆な試みであります。このための面白いアイデアをどしどし出してください。

大学が「象牙の塔」でいられる時代はとうの昔に過ぎました。新しい情報技術の発展とともに、世界の持続的な発展に役立つようなアイデアや経験は、あっという間に世界中に飛び交うようになりました。若い学生たちは、このことを実際にソーシャル・メディアを使って実践しています。このネットワーキングこそが、新しい知的価値を生み出す魔法の杖です。

日本のたくさんの大学や高等研究機関が有する知的生産力、R&D、そして蓄積された知見は、世界が常に注目しているところです。世界を少しでも平和に、安全に、そして豊かにしていくために、この国連の新しい試みのアカデミック・インパクトを通じて、世界の大学とともにさらに切磋琢磨しようではありませんか。国連は、こうした世界の大学関係者による有意義な活動に惜しみない支援を送ります。

国連広報センターからのあいさつ

国連広報センター 所長 山下 真理

 

国連アカデミック・インパクト(UNAI)の日本での発足は、訪日中の潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が見守る中、2010年8月に実現しました。広島の平和記念式典への初参加を目的とした訪日に際して開かれた日本での第一回会合は、ニューヨークの国連本部におけるUNAIの正式な発足より一足早く行われる運びとなったのです。いち早くスタートを切った形となった日本でのUNAIは、翌2011年2月に開催されたフェイスブックページ上のeディスカッションで九州大学がモデレーターとして活躍、また4月には、UNAIの10原則に対して世界の10の大学が「ハブ大学」に選定される中、日本からは桜美林大学が第一原則担当に選ばれるなど、積極的な取り組みが行われています。

日本での発足以来、国連広報センターもこの一年間、多くのUNAI参加大学と講演会やイベントを共催する機会に恵まれました。2010年8月には第一回会合のホストを務めた早稲田大学で潘事務総長による「平和と軍縮」をテーマに講演会を、また12月には明治大学において、赤阪清隆国連事務次長による公開講演「若者よ、世界に出よう!」を共催させていただきました。2011年10月24日には、東北大学の国連アカデミック・インパクト署名を記念するシンポジウムが開かれます。国連憲章が発効したことを記念して設けられた「国連デー」の当日に開催される本イベントでは、地元の市民の皆さん、企業、学生、大学関係者等と国連諸機関が集い、未曾有の震災を受けた被災地で東北、日本、そして世界を考える貴重な機会となります。また12月には、九州大学との共催による赤阪事務次長の講演会、および関西学院大学でのキャリア・フォーラムへの協力も予定しています。また、日本でのUNAIネットワークを広げるために、このウェブサイトを開設しましたが、運営についてはUNAI参加校である中央大学にご協力いただいております。国連広報センターは今後もUNAI参加大学と協力し、様々な活動を積極的に展開していきたいと考えています。

近年、日本の多くの大学が国際的な取り組みを大学のビジョンに取り入れ、グローバルな人材育成を重視しています。UNAIはまさに、アカデミックな世界と国連活動の実践をつなげる、グローバルな枠組みを提供しているといえます。高いレベルの大学教育や研究活動が行われている日本は、世界に貢献できる大きな力を持っています。アカデミック・インパクトを通して、より多くの日本の大学がこのグローバル・ネットワークに参加し、活躍していただくことを心から願っております。